留学時代、私は日本人研究者の“研究スキル不足”を痛感すると同時に、体系的に学べる場や支援機関が極めて少ない現状を目の当たりにし、ビジネスの可能性を感じました。その後、フリーランスのメンターとして250件以上の研究支援を行い、その需要の高さを再認識するとともに、コロナ禍におけるオンライン授業の拡大が大学や研究施設内のメンター制度を機能不全に陥らせ、教育・指導の不足をさらに助長していることを知りました。
結果として、多くの研究者や学生が孤立し、ストレスを抱え込むケースが増えています。しかし、私が提供してきた研究支援は、研究者のモチベーションや好奇心の維持に大いに役立ち、メンタル面のサポートにつながっているとの評価を多数いただいており、事業は次第に拡大しました。
私は19年間、体外診断用医薬品(人々の健康状態を把握するための検査薬)の研究開発業務に携わり、国内外での留学や海外製薬企業との協業を通じて、幅広い医学知識と国際的な視点を培ってきました。また、論文投稿や学会発表の経験を重ねる中で、研究成果を世界に向けて発信するためのアウトプットスキルを磨いてきました。
一方で、2006年に手足が不自由になる難病を患い、実験者としての将来に不安を感じた時期もありましたが、幸いにも大きな再発はなく、2013年からは医学研究アドバイザー(フリーランスメンター)として活動し、数多くの研究者をサポートしてきました。
私の強みは主に3つあります。
- インプット能力――先行研究を徹底的に調べ上げる文献調査力
- 統合能力――パラフレーズを駆使しながら論理的に文章をまとめる力
- アウトプット能力――正しい論文校正や執筆理論を踏まえ、分かりやすく成果を発信する力
これらの経験と知識を広く共有することで、海外の研究者に比べてアウトプット力が弱いとされる日本人研究者であっても、国内で生まれた優れた研究成果を正しくグローバルに発信できるようになり、日本の医学研究のさらなる発展に貢献したい――この想いを企業の責務として掲げ、私は株式会社コノラボを設立しました。
代表取締役 小野 純也